歯周病についてのお話
2021.02.08(月)
こんにちは!
獣医師の福本です。
今日は歯周病についてのお話です。
当院でも季節を問わず治療を行っています。
歯周病は、犬と猫においてあらゆる病気の中で最も多い疾患です。
2歳以上の 犬の約80% 猫の約70%が罹患しています。
どの年齢でも見つかる病気ですが、高齢なほど発症しやすく、また重度になりやすい傾向があります。
ご存知の通り、歯垢の中の細菌が原因となり、口の中でわるさをするのが歯周病です。
歯周病は大きく二つに分けられています。
細菌が歯肉に入り、炎症を起こした症状を「歯肉炎」といい、
さらに炎症が進行し、歯を支える歯槽骨が破壊される症状を「歯周炎(歯槽膿漏)」といいます。
さて、どんな症状がでるのでしょう・・・?
①歯肉が赤く腫れていきます。
②そのうちに歯を支えている骨も壊されてしまい、歯がぐらついてきて抜けてしまいます。
③さらに炎症が進むと歯根の周りも壊されて、口周りが外から見てもわかるほど腫れることがあります。
④腫れたところの皮膚に穴が開き血や膿が出たり、口と鼻がつながって鼻水やくしゃみが出たり、下あごが骨折してしまうことも!
また、細菌が血管に入り、心臓・肝臓・腎臓・骨などに病気を引き起こしてしまう恐れもあります。
ただの歯の病気のはずが全身に様々な悪影響を引き起こしてしまうなんて、なかなかあなどれないですね・・・
歯周病は歯磨きで予防することができる病気です。
ぜひおうちでは習慣的な歯磨きをして欲しいところですが、うちの子歯ブラシがキラいで・・・という方も多いようです。
そこで、ホームデンタルケアのステップを記載しておきます。
どのステップでも嫌がるそぶりを見せたらすぐに中断しておやつを与え、
少しでも出来たらおやつ与えて褒めてあげましょう。「歯磨き=ご褒美がもらえるうれしいこと」と覚えさせてあげます。
step1 マズルを手で触る、軽く持つ
step2 唇を手でめくる
step3 指で歯や歯茎を触る
step4 濡らしたガーゼ(デンタルシートなど)を巻いた指で歯や歯茎を触る
step5 ガーゼ・シートを歯にあててこする
step6 歯ブラシを口の中に入れる
step7 歯ブラシで歯を磨く
ステップができたごとにご褒美をあげ、無理なく少しずつ進めていくことが成功のカギです!
特にstep1~3を、歯周病による痛みの出ていない、若い時期に重点的に行うことが大切です。
歯周病にかかってしまった場合スケーリング(歯石を器具での除去)を行いますが、動物のスケーリングは全身麻酔が必要です。
全身麻酔は老齢であると内蔵に負担がかかることが多く、歯周病の治療もしたいけど麻酔をかけづらい・・・といったジレンマを抱えることもあります。
歯周病の治療はなるべく早期にしたいですね。
歯石や汚れはついていませんか?
口臭は強くありませんか?
ご飯は食べづらそうにしていませんか?
こんな症状に気づいたら、動物病院に相談してみてください!