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21動物病院での検査・治療【僧帽弁閉鎖不全症】

2023.01.20(金)

流山市(江戸川台、初石、おおたかの森)、柏市(柏の葉、豊四季)、野田市(運河、梅郷、愛宕、清水公園、七光台)の皆様こんにちは。千葉県流山市の21(ツーワン)動物病院です。当院ではエビデンスを元に検査・診断・治療を行っています。
今回は僧帽弁閉鎖不全症の病態、症状、診断、治療、予後、当院での対応について解説させていただきます。

 

先日は聴診で心雑音があるという理由だけで内服薬を処方された犬が来院されました。しかし、当院でレントゲン検査・心エコー検査を行った結果、まだ投薬の基準を満たしていなかったため内服の中止を検討しました。

 

21動物病院では下記に示す流れで診断・治療を行っています。
それでは僧帽弁閉鎖不全症について解説します!

 

<病態:僧帽弁閉鎖不全症とは>
犬に多い(特に小型犬やキャバリア・キング・チャールズ・スパニエル)心臓病の一種で、僧帽弁(左心房と左心室の間の弁)がうまく閉じず、血液の逆流が生じてしまう病気です。弁が正常であれば、通常は体循環→右心房→右心室→肺→左心房→左心室→体循環と一方向にしか血液が流れません。この疾患では、身体に流れる血液量(心拍出量)が減少することと、右心房に逆流した血液がうっ滞することにより障害が発生します。
血液のうっ滞が肺へと進行すると、肺に水がたまった状態“肺水腫”となります。本来は空気が入るべき場所に液体が溜まってしまうことで呼吸困難となり、呼吸数の増加、チアノーゼなどを呈します。また場合により肺高血圧症も併発することがあります。
※チアノーゼ…粘膜(特に舌)の色が暗紫色になること。酸素欠乏状態。

 

<症状:こんな様子に注意>
・発咳
・疲れやすい(散歩の距離や遊ぶ時間が短くなった)
肺水腫になった場合
・呼吸困難(呼吸数の増加(1分間に40回以上の呼吸)、チアノーゼ、首を伸ばして座る姿勢)
・発咳(多くは湿性)

 

 

<僧帽弁閉鎖不全症の診断>
・身体検査(特に視診、聴診)、レントゲン検査、超音波検査
僧帽弁閉鎖不全症では殆どの場合で心雑音が聴取されます。心雑音にはいくつかグレード分類があり、ここではよく使用されるLevine分類を記載します。

レントゲン検査では、心臓のサイズ・形、肺血管、肺全体の陰影に注目します。心臓のサイズは椎骨心臓サイズ(VHS)や椎骨左房サイズ(VLAS)を測定します。
超音波検査では、主としてドップラー法による逆流の確認、左房径/大動脈径比、標準化左房拡張末期径に注目します。また状況により逆流速、左房内径短縮率、僧帽弁口血流波形(E波、A波)などを計測します。

 

<僧帽弁閉鎖不全症の治療>
僧帽弁閉鎖不全症はステージ分類があり、米国獣医内科学会(ACVIM)のステージB2以上が治療の対象となります。またステージは一度でも上がれば、下がることはありません。

上記の通り、原則ステージB2以上が認められれば、内科治療を開始します。この治療は逆流をなくして完治させるというよりは、心臓の動きを補助し、少しでも進行を遅くするという治療になります。
根本的な治療法は外科手術のみとなりますが、専門性が高く、日本でも手術をしている病院は限られること、手術費用が非常に高額になることから内科治療を選択される方がほとんどです。

 

<僧帽弁閉鎖不全症の予後>
無徴候の場合、生存期間は3~5年です。ステージCになると1年以内に半数が死亡、ステージDでは中央生存期間は160日です。
また体重が減少する(心臓性悪液質)と予後が悪いと言われています。

 

<21動物病院での対応>
咳や心雑音がある症例には必ず画像検査(レントゲン検査、超音波検査)を奨めさせていただき、ステージB2以上が確認されれば治療を始めます。
主に使うのはピモベンダン、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)です。進行の程度によりスピロノラクトン、利尿薬、シルデナフィルなどを使用します。
また状況によってはステージB1でも治療を始めることもあり、その場合はACE阻害薬から始めることとなります。
また肺水腫が認められた場合は、酸素室、利尿剤などを使い入院治療をしていきます。

 

僧帽弁閉鎖不全症だけでは日常生活に変化はほとんど感じられませんが、進行して肺水腫になると命にかかわります。診断されたら定期的に検査しましょう。
発咳の増加(特に湿性)、呼吸数の増加(安静時に1分間に40回以上)、チアノーゼ、首を伸ばすような呼吸があればすぐに来院してください。

 

21(ツーワン)動物病院では日々知識、技術をアップデートし、エビデンスに基づきガイドラインに沿った治療を行っています。気になる症状がある方、他院での診断・治療に不安のある方(セカンドオピニオン)は是非お気軽にご相談ください。早期発見・早期治療で元気で心地よく過ごせるようスタッフ一同全力でサポートさせていただきます。
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