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【解説】犬のリンパ腫について

2024.02.21(水)

 

流山市(江戸川台、初石、おおたかの森)、柏市(柏の葉、豊四季)、野田市(運河、梅郷、愛宕、清水公園、七光台)の皆様こんにちは。

千葉県流山市江戸川台にある、21動物病院-江戸川台- 院長の岡江です。

当院ではエビデンスを元に検査・診断・治療を行っています。

 

今回は犬のリンパ腫について解説をします。

 

リンパ腫とは??

血液中の白血球の一つであるリンパ球が腫瘍性に増える疾患であり血液腫瘍の一つと定義されます。犬のリンパ腫は悪性腫瘍全体の7-24%を占めるとても発生頻度の高い腫瘍です。

主に、体表のリンパ節、脾臓、胃腸管、肝臓、縦隔、皮膚、腎臓、眼、脳、脊髄などで腫瘍細胞が増殖し腫瘤を形成します。まれに明らかな腫瘤を形成しないものもあります。腫瘤とはシコリの事です。

 

発生分布は?体のどこに発生する?

・多中心型(体表のリンパ節が腫脹する)  70~85%

・消化器型                     10%前後

・皮膚型                       5%

・その他                       僅か

 

一番発生の多い多中心型のリンパ腫は体表のリンパ節が腫れるためご自宅でも気づくことが可能です。

主な体表のリンパ節とは

・下顎リンパ節

・浅頚リンパ節

・液窩リンパ節の

・鼠径リンパ節

・膝窩リンパ節 の事です。

 

一度触知できるか試してみて下さい。健康な犬でも下顎リンパ節は歯周病の影響で腫れていることが多いので

分かりやすいと思います。その他のリンパ節は通常、ほとんど触知できません。

好発犬種は??

ボクサー、バッセット・ハウンド、ロット・ワイラー、アメリカン・コッカー・スパニエル、イングリッシュ・コッカー・スパニエル、セント・バーナード、スコティッシュ・テリア、エアデール・テリア、ブルドッグ、ゴールデン・レトリバー、シェットランド・シープドッグが知られています。

 

 

 

 

 

リンパ腫の症状は??

症状は発生部位と病期によって大きく異なります。

 

・多中心型リンパ腫

犬ではリンパ腫の70-85%がこれに該当します。多中心型リンパ腫を発症すると、下顎や浅頸、腋窩、鼠径、膝窩などの体表リンパ節が左右対称に腫大するのが特徴的です。

全身状態は問題ないことも多く、ワクチンや健康診断時に偶発的に発見される事もあります。病期が進行すると食欲不振、元気消失、体重減少、発熱、嘔吐、下痢などが認められるようになります。

 

・胃腸管型リンパ腫

犬のリンパ腫の10%程度が胃腸管型リンパ腫と言われており、多中心型リンパ腫に次いで多い病型になります。小腸や結腸、胃などに腫瘍が発生します。

症状としては嘔吐や下痢、血便、食欲不振、元気消失、体重減少などが考えられます。

 

・皮膚型リンパ腫

皮膚型リンパ腫が占める割合は、犬のリンパ腫のうちの5%未満です。発症すると皮膚や粘膜に腫瘤を形成したり、皮膚に炎症や潰瘍、かさぶたなどが見られたりすることがあります。

 

・縦隔型リンパ腫

犬ではあまりみられない病型です。縦隔とは左右の肺の間の空間で、心臓や気管、食道、大動脈などがここに存在しています。胸の中に腫瘤が形成されてしまうことで、呼吸が荒くなってしまったり、呼吸困難に陥ってしまったりすることがあります。

 

・その他の病型

まれではありますが、眼や中枢神経、腎臓、筋肉、肝臓などにリンパ腫が発生してしまうことがあります。発生した場所によってさまざまな症状がみられるようになります。

 

 

リンパ腫の診断は??

先ずは触診、血液検査、レントゲン検査、超音波検査を行い、全身状態を精査します。

腫大したリンパ節や病変のある臓器がある場合は針生検で診断します。胸水や腹水の細胞診を行うことでも診断できます。場合によっては麻酔下でリンパ節の切除生検が必要になることもあります。

診断の補助として遺伝子検査を利用してクローナリティ解析を行うこともあります。T細胞とB細胞の分類をします。

リンパ腫の治療は??

リンパ腫は化学療法(抗癌剤)が第一選択の治療法です。

一般的に用いられるのは多剤併用化学療法で通常はビンクリスチン、シクロホスファミド、ドキソルビシン、プレドニゾロンを1~2週おきに投与し治療します。

他にも様々なプロトコルがあります。リンパ腫の細かい分類、動物の一般状態、予後、経済的問題(抗癌剤治療は高額になることが多い)などから選択可能な治療法を検討します。

病変が限局的な場合は外科的切除や放射線療法を補助的に併用することもあります。

 

21動物病院での治療選択の方法は?

21動物病院では飼い主様とのコミュニケーションをとても大事にしています。動物を触って、診断してコレだからこの治療だけです!と押し付けるような治療ではありません。コミュニケーションに十分な時間を取り、動物と飼い主の双方が十分な利益を受けられるように意識しています。

症状の重症度、飼い主様の通院できる頻度、動物のストレス、飲み薬ができるか、注射が大丈夫か、経済的な状況など含めて総合的に判断し、相談の上、治療方針を定めていきます。

 

リンパ腫の予後は??

悪性度や分類によって予後は大きく異なります。

リンパ腫は完治が難しく、通常は治療によって症状を抑え『寛解』を目指す事になります。

寛解とは、がん細胞の増殖が抑制され症状が出ない状態を指します。そのため長期的な経過観察や治療が必要です。

犬で一番発生率の多い多中心型リンパ腫の場合、一般的に無治療での生存期間は4~6週とされています。一方、化学療法による寛解率は80~90%と高く多剤併用療法を行った場合、生存期間は2年以上を見込めることもあります。

 

リンパ腫についてご不明点やご相談があれば、当院までお電話もしくはLINEにてお問い合わせください。

セカンドオピニオンのご相談も受け付けています。お気軽にご来院ください。