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猫の卵巣遺残症候群について解説します!

2022.07.09(土)

猫の卵巣遺残症候群について解説します!

 

<症状>

 

よく鳴く、すりよる、甘えんぼうになる、ローリング、ロードーシス、外猫に異常に反応するなど避妊手術を受けたのにも関わらず発情行動が認められます。

 

<病態・原因>

 

避妊手術は発情に関与するホルモンを放出する卵巣を全摘出するため通常、避妊手術後に発情はきません。しかし卵巣遺残症候群では避妊手術をしたにも関わらず卵巣組織が何らかの理由で残っていることで発情兆候を起こします。卵巣組織が残る原因としてはいくつか報告があります。

① 避妊手術時の卵巣の不完全な摘出および卵巣組織片の腹腔内落下
② 異所性卵巣(正常な卵巣の位置以外に卵巣が存在する)
③ 副卵巣または過剰卵巣の存在

卵巣が卵巣嚢によって完全に囲まれている犬に比べると猫の卵巣は位置及び形態が確認しやすい動物です。そのため手術による取り残しや異所性卵巣よりも副卵巣による発症の可能性が指摘されています。しかし猫では卵巣の再生に関する報告もあるため本疾患の発生機序はまだ明らかではありません。

 

<診断>

 

発情兆候の確認、画像診断(超音波検査やCT検査)に加えて血中の性ホルモン値を測定して確定診断をします。
発情兆候が強く現れている時期にヒト絨毛性腺刺激ホルモン(hCG)または性腺刺激ホルモン刺激ホルモン(GnRH)を投与して排卵誘起処置を行い、投与後約1週間以降に採血をします。血中プロジェステロン値が高値を示しているかを確認することで卵巣の遺残を証明します。しかし遺残の原因①~③の特定には実際に開腹し直接確認することが必要です。

 

<治療>

 

外科的に遺残卵巣を摘出することが最も適切な方法ですが場合によっては内科的に発情抑制薬の投与も検討されます。

<予後>

 

遺残卵巣を摘出すれば予後は良好です。

 

<最後に獣医師からひとこと>

 

非常にまれなケースではありますが、避妊手術後に発情徴候を認めた場合はご相談ください。