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リンパ腫について解説します!

2022.08.03(水)

リンパ腫について解説します!

 

〈発生機序〉

 

体内には免疫反応に関与する細胞が複数種あり、その中の一つにリンパ系細胞が挙げられます。通常は骨髄で増殖するリンパ系細胞が、他の場所で腫瘍化(正常な機能を持たず異常増殖)する病態をリンパ腫と呼びます。

腫瘍化する場所によりいくつかに分類されますが、本稿ではリンパ腫の80%を占める「多中心型リンパ腫」について説明します。

体表にはおおよそ決まった位置にリンパ節が存在し、細菌・ウイルス・がん細胞などの異物を排除する関所の役割を持ちます。多中心型リンパ腫はそれらのリンパ節に発症するリンパ腫であり、体表リンパ節の腫脹により発覚することが多い病気です。

はっきりとした原因は不明ですが、何らかの遺伝子の異常によって発生するものと考えられています。

 

〈症状〉

 

全身の体表リンパ節の左右対称性腫脹が典型的な症状です。

初期であれば一般状態が良好なこともありますが、食欲不振・元気消失・呼吸困難・嘔吐・下痢といった非特異的な症状を伴うこともあります。

 

〈診断〉

 

リンパ腫を疑った場合は、身体検査・X線検査・超音波検査で病変の部位や広がりを調べます。また、腫脹したリンパ節を針吸引し、得られた細胞を顕微鏡下で観察することで悪性・良性の区別がつくこともあります。

病態が進行すると、抹消血液塗抹検査において腫瘍化したリンパ系細胞がみとめられることもあります。

確定診断を得るためにはリンパ節を摘出して病理検査を行います。

 

〈治療〉

 

□高悪性度リンパ腫

リンパ腫の多くはB細胞型高悪性度リンパ腫とされています。

化学療法(抗がん剤治療)を行わない場合は、多くの症例で1か月以内に死亡してしまいます。

化学療法では、ビンクリスチン・シクロホスファミド・ドキソルビシン・プレドニゾロンを組み合わせるCHOP療法が第一選択となります。

□低悪性度リンパ腫

元気・食欲の低下やリンパ節の腫脹による呼吸困難、血球減少症といった症状が認められない場合は無治療で経過観察とします。上記のいずれかに異常が認められた場合は化学療法を行う場合もあります。

 

〈予後〉

 

高悪性度リンパ腫に対してCHOP療法を行った場合の生存中央値は、腫瘍化したリンパ系細胞の種類により異なりますがおおよそ半年~1年となります。また、一度良化しても多くの場合再発してしまいます。

低悪性度リンパ腫では長期生存の症例も多く、例えばT領域型低悪性度リンパ腫の3年生存率は80%以上であり、リンパ腫以外で死亡することも多いと報告されています。

 

<獣医師からひとこと>

 

他の病気を認めずにリンパ節の腫脹がある場合はリンパ腫の可能性があります。

体表のリンパ節の腫脹に気づいたらすぐの診察をお勧めします。