【解説】蚊刺症
2024.07.04(木)
流山市(江戸川台、初石、おおたかの森)、柏市(柏の葉、豊四季)、野田市(運河、梅郷、愛宕、清水公園、七光台)の皆様こんにちは。
千葉県流山市江戸川台にある、21動物病院-江戸川台- 院長の岡江です。
当院ではエビデンスを元に検査・診断・治療を行っています。
本日はこの時期多い蚊刺症について解説します。
蚊刺症(かししょう)とは?
蚊刺症は、蚊に刺されたことによって引き起こされる皮膚の炎症やかゆみのことを指します。特に夏季に多く見られるこの症状は、犬や猫にも発生し得ます。蚊刺症は、蚊の唾液に含まれる特定のタンパク質や化学物質に対するアレルギー反応によって引き起こされます。蚊の刺咬部位に赤みや腫れ、強いかゆみが生じ、これがさらに悪化すると二次感染を引き起こすこともあります。
蚊刺症の症状
犬の場合
犬が蚊に刺されると、以下のような症状が見られることがあります。
- かゆみ: 刺された部位を頻繁にかきむしる、舐める、または噛む行動が見られます。特に耳や鼻の周り、腹部など毛が薄い部位が刺されやすいです。
- 赤み: 刺された部位が赤くなり、目に見える炎症が確認できます。
- 腫れ: 刺された部位が膨らみ、触ると熱を持っていることがあります。
- かきむしる行動: かゆみが強いため、犬は患部を執拗にかきむしることがあり、これにより皮膚が傷ついてしまうことがあります。
猫の場合
猫が蚊に刺されると、以下のような症状が見られることがあります。
- かゆみ: 猫もまた刺された部位を舐めたり噛んだりする行動が見られます。猫は特に耳の先や顔、足などが刺されやすいです。
- 発疹: 刺された部位に小さな発疹が現れることがあります。これが拡大すると、かゆみや痛みを伴うことがあります。
- 局所的な脱毛: 猫が頻繁に刺された部位を舐めたり噛んだりすることで、その部分の毛が抜けてしまうことがあります。
- 落ち着きのなさ: 刺されたことで猫が落ち着かず、常にかゆみを感じているためにイライラしている様子が見られることがあります。
蚊刺症の原因
蚊刺症の主な原因は、蚊の唾液に含まれるアレルゲンです。蚊に刺されると、その唾液が皮膚に注入され、アレルギー反応が引き起こされます。蚊の唾液には、血液を凝固させない成分や麻酔成分が含まれており、これが免疫システムを刺激して炎症を引き起こします。また、蚊の種類によっては、デング熱やジカウイルスなどの病原体を媒介することもあるため、特に注意が必要です。
蚊刺症の治療法
自宅でできる対策
- 刺された箇所を清潔に保つ: 刺された部位を清潔に保つことは、感染を防ぐために非常に重要です。犬や猫が刺された箇所をかきむしると、傷口が開き、細菌が侵入しやすくなります。消毒液や抗菌スプレーを使用して、患部を消毒しましょう。
- 冷やすことでかゆみを軽減: 冷たいタオルやアイスパックを使用して、刺された部位を冷やすことでかゆみを軽減できます。冷却することで炎症が収まり、かゆみが和らぎます。
- 犬用・猫用のかゆみ止めクリームの使用: 市販されている犬用・猫用のかゆみ止めクリームやローションを使用することで、かゆみを軽減することができます。使用前には必ず獣医師に相談し、適切な製品を選びましょう。
獣医師による治療
- 抗ヒスタミン薬の投与: 抗ヒスタミン薬は、アレルギー反応を抑えるために使用されます。かゆみや腫れを軽減し、犬や猫が快適に過ごせるようにします。獣医師の指示に従って適切な量を投与しましょう。
- ステロイド剤の処方: ステロイド剤は、炎症を迅速に抑える効果があります。重症な場合や広範囲にわたる炎症が見られる場合に使用されることがあります。
- 必要に応じて抗生物質の使用: 二次感染が疑われる場合や傷口が化膿している場合には、抗生物質が処方されることがあります。抗生物質は細菌感染を防ぎ、治癒を促進します。
蚊刺症の予防方法
室内環境の整備
- 蚊取り線香や虫除けスプレーの使用: 室内での蚊の発生を防ぐために、蚊取り線香や虫除けスプレーを使用することが効果的です。特に夜間、窓やドアを開けることが多い時期には、積極的に使用しましょう。
- 網戸を設置して蚊の侵入を防ぐ: 網戸を使用して蚊の侵入を防ぐことは、ペットを守るための基本的な対策です。網戸が破れている場合は、早急に修理することをお勧めします。
ペットのケア
- 散歩時には蚊の多い場所を避ける: 散歩中は、草むらや水たまりの近くを避けるようにしましょう。これらの場所は蚊が多く発生しやすい環境です。できるだけ蚊の少ない時間帯に散歩をすることも効果的です。
- 虫除けスプレーの使用: 散歩前に犬や猫に虫除けスプレーを使用することで、蚊刺症を予防できます。ペット用の虫除けスプレーを選び、顔や耳の周り、足などにしっかりとスプレーしましょう。
まとめ
蚊刺症は、適切なケアと予防で防ぐことができます。愛犬や愛猫が快適に過ごせるよう、しっかりと対策を行いましょう。蚊刺症が疑われる場合や症状が重い場合は、速やかに獣医師に相談することが重要です。疑問点や不安なことがあれば、当院までお気軽にご相談ください。